福岡大学医学部医学科では、医学教育の分野別認証受審に向けて、医学教育検討委員会を立ち上げ、これまでのカリキュラムや講義内容、学生評価の見直しを行っています。日本の医療、医学教育は、国際的に見ても先進的で高いレベルにありますが、情報社会の発展、各方面での国際化に伴い、日本の医学部は、国際基準の医学教育に発展させ質の向上を目指しています。
日本医学部長病院長会議は2015年12月に日本の医学教育を国際的な水準で評価するための新組織、「日本医学教育評価機構(JACME;Japan Accreditation Council for Medical Education)」を発足しました。各医学部は、これまでの各々の医学教育の自己点検を行い、このJACMEによる医学教育の認証評価を受審することになります。福岡大学医学部医学科も、2018年6月に受審予定です。特に臨床実習の充実が重要になり、卒前教育と卒後臨床研修の一貫した医学教育が求められます。現在の医学部医学科4年生での臨床実習前の全国共用試験であるCBT、OSCEに加え、医学部医学科6年生では医学部卒業前の到達度評価としてPost Clinical Clerkship OSCEが2020年をめどに共用試験として取り入れられる予定で、トライアルが始まります。
このような医学教育の新しい動きは、「2023年問題」と称されるアメリカのECFMGが、国際認証を受けた医学部卒業生にのみ米国医師国家試験受験資格を与えると通知したことに端を発しています。私たちは、このような流れをむしろ利用して、福岡大学医学部医学科の教育内容をさらに充実させ、質の高い卒業生を社会に送り出したいと前向きに取り組みます。
国際基準の医学教育分野別認証について
教職員が理解すべきGlobal Standard
・学生が卒業時までに身に付けておくべき、必須の実践的診療能力(知識・技能・態度)を、「ねらい」と「学修成果」として明確化
・学生の学修時間数の3分の2程度を目安としたもの(残り3分の1程度は各大学が特色ある独自のカリキュラムを実施)
・「医師として求められる基本的な資質と能力」として、ミニマム・エッセンスである項目を記載
日本の医学教育

現在の福岡大学の医学教育は、2016年改訂の医学教育モデルコアカリキュラムを基に、国際基準に準じた学習成果基盤型(Outcome-based education)となっています。これは、医学部卒業時に身につけておくべき最低限の総合診療能力をクリアした学生のみ医師国家試験を受験できるということです。社会のニーズに適した医師を育てる責任があります。また医療の国際化に伴い、日本の医学部も国際基準に準じた医学教育を行う必要があり、医学教育の分野別認証制度が本邦でもスタートします。福岡大学医学部医学科でも、平成30年6月に認証を受審する予定です。

評価者のあるべき姿